「派遣は不安定」という話を、聞いたことがあるかもしれません。たしかに、派遣にはいろいろな形があります。その中に、派遣会社に期間を決めずに雇われて働く、無期雇用派遣という形があります。
このページでは、無期雇用派遣がどんな仕組みなのか、登録型派遣とどこが違うのかを、厚生労働省の資料をもとに整理します。むずかしい言葉は、出てきたところで言い換えます。どちらが良い・悪いという話ではなく、違いを知って選ぶための材料として読んでください。
派遣の三者の関係と、契約の期間
派遣の基本:雇う会社と、働く先が別
派遣では、雇うのが派遣会社(派遣元)、働く先が別の会社(派遣先)です。仕事の指示は派遣先から受けますが、給与を払う雇用主は派遣会社です(厚生労働省「労働者派遣事業を適正に実施するために」)。
派遣会社と本人の雇用契約に期間があるかどうかで、2つに分かれます。期間を決めて雇われる人は「有期雇用派遣労働者」、期間を決めずに雇われる人は「無期雇用派遣労働者」と、法律で呼ばれています(同じ資料)。
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登録型派遣とは
登録型派遣は、一般に、派遣で働きたい人があらかじめ派遣会社に登録しておき、仕事を紹介するときに期間のある契約を結んで派遣する形です。有期雇用派遣労働者として働くことになります(同じ資料)。
いろいろな職場を経験してみたい人や、期間を区切って働きたい人には、合うことがあります。契約の期間が決まっているので、更新されるかどうかは、そのつど確かめる必要があります(運営会社の見方です)。
無期雇用派遣とは
無期雇用派遣は、派遣会社と期間の定めのない契約を結んで雇われ、その派遣会社から派遣先に派遣される形です。派遣会社が常時雇っている人の中から派遣する形は、一般に「常用型派遣」と呼ばれます(厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」第1の3(4))。
なお、2015年9月30日から、派遣事業はすべて国の許可制に統一されています(厚生労働省「平成27年労働者派遣法改正法の概要」)。無期雇用派遣の会社も、許可を受けて事業をしています。
表で整理すると
| 登録型派遣 | 無期雇用派遣 | |
|---|---|---|
| 雇う会社 | 派遣会社 | 派遣会社 |
| 派遣会社との契約 | 期間の定めあり | 期間の定めなし |
| 働き方の流れ | 登録して、仕事が決まったら契約する | 雇われてから、派遣先に派遣される |
| 派遣先との契約がなくなったとき | 派遣先に途中で解除されても、期間が残っていれば満了までは契約が続く | 終わったことだけを理由にした解雇は認められない |
| 教育訓練の決まり | 全員に入社時の教育訓練 | 全員に入社時の教育訓練。さらに長期的なキャリア形成を意識した内容に |
表の根拠は、後の節で説明します。
派遣先の仕事が終わったとき
ここが、いちばん気になるところかもしれません。決まりは、次のとおりです。
厚生労働省のQ&Aでは、派遣の指針(国の定めた守るべきルール)が、無期雇用派遣の人を、派遣が終わったことだけを理由に解雇してはならないとしています。派遣が終わったことだけを理由に辞めさせる運用は、法律違反または指針違反と判断される可能性がある、と説明されています(厚生労働省「改正労働者派遣法に関するQ&A」)。
国の許可の基準にも、派遣契約の終了のみを理由に解雇できるという規定が、会社の就業規則などにないこと、が入っています(「平成27年労働者派遣法改正法の概要」2ページ)。
登録型でも、派遣先が派遣契約を途中でやめた場合に、派遣会社と本人の契約は、期間が残っていれば満了まで続きます。国の労働局のあっせん事例にも、そのように書かれています(厚生労働省「派遣契約の中途解約に伴う休業手当の支払い」)。
ただし、「解雇できない」ことは、「その職場で働き続けられる」こととは別の話です。派遣先との契約が終われば、その職場での仕事は終わり、次の派遣先を探すことになります。そのあいだの給与のしくみは、次の派遣先が決まっていない間の給与の記事で説明します。
教育訓練の決まり
派遣会社は、雇っているすべての派遣労働者に、入社時の教育訓練を含む、有給で無償の教育訓練をする決まりがあります。無期雇用派遣の人には、長く働くことを前提にしたキャリア形成を意識した内容にすることが求められています。希望する人は、キャリアの相談を受けられる窓口もあります(「平成27年労働者派遣法改正法の概要」3ページ)。
研修の中身は、会社によって違います。ここから先は、会社ごとの案内で確かめる部分です。
無期雇用派遣を選ぶときに確かめたいこと
ここは運営会社の考えです。無期雇用派遣と書いてあっても、中身は会社によって違います。応募や相談の前に、次の点を聞いておくと安心です。
- 雇用契約に、期間の定めがないと書かれているか
- 働く場所は、どの範囲から選ばれるか
- 給与の内訳は、どうなっているか
- 次の派遣先が決まるまでの間の扱いは、どうなっているか
- 入社後の研修は、どのくらいあるか
確かめたいことをまとめた記事は、相談から働き始めるまでの流れの記事にもあります。
無期雇用派遣で、まだ分からないこと
この記事では、次のことは書いていません。
会社ごとの案内は、当社が求職者をご紹介している会社の記事(こちら)で、公式の情報を整理しています。
次にやること
- 登録型と無期雇用派遣の違いの表を見て、気になるほうに印をつける
- 次は、派遣の3年ルールの記事で、無期雇用派遣と3年ルールの関係を確かめる
- 迷ったら、このページの下の LINE から相談する
事実確認
確かめた日は2026年10月22日です。出典のページを開いて、次の事実を確かめました。
- 派遣の仕組み、有期・無期雇用派遣労働者の定義、登録型・常用型の意味:厚生労働省「労働者派遣事業を適正に実施するために」(平成30年4月)。
- 無期雇用派遣労働者を、派遣の終了のみを理由に解雇してはならないと指針にあること、法律違反または指針違反と判断される可能性があること:厚生労働省のQ&A。
- 許可の基準(解雇の規定が無いこと)、教育訓練の決まり、2015年9月30日に許可制に統一されたこと:厚生労働省「平成27年労働者派遣法改正法の概要」。
- 派遣契約が途中で解除されても、期間が残っていれば本人の契約は満了まで続くこと:労働局のあっせん事例。
出典にない運営会社のまとめは、表の「働き方の流れ」の行、登録型についての更新の確かめのすすめ、「無期雇用派遣を選ぶときに確かめたいこと」、「次にやること」です。
2026年10月22日に、厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」(令和8年10月1日適用版)の第1(1・16・17ページ)で、派遣の三者の関係、有期・無期雇用派遣労働者の意味、登録型・常用型の意味、特定労働者派遣事業が平成27年の法改正で廃止されたことが、本文と同じであることを確かめました。第3の1(8)(57〜62ページ)で、許可の基準(無期雇用派遣労働者を派遣契約の終了のみを理由に解雇できる旨の規定がないこと、教育訓練の決まり)が同じであることを確かめました。派遣の終了のみを理由にした解雇の禁止(無期雇用の人は指針の第2の2(4)イ、期間の残っている有期の人は同ロ)と、派遣契約が解除されても期間の残る契約が続くという考え方も、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」で同じであることを確かめました。2015年9月30日という日付は、2015年の資料によるもので、現行の要領は「平成27年の法改正で廃止された」までを書いています。直した点が1つあります。「無期雇用派遣」と「常用型派遣」を同じものとして書いていた文を、要領の書き方(常用型は、常時雇用している人の中から派遣すること)に合わせて直しました。


